埼玉の狛犬
埼玉県の狛犬や神使像をゆっくりと追い続けて、少しずつデータベースを整えていきたいと思います。皆さんの狛犬巡りの助けになれば幸いです。
狛犬とは
狛犬は、日本各地の神社や寺院の境内に左右一対で置かれる空想上の動物の像で、その起源は古代オリエントの獅子に遡る。西アジアに現れた獅子一対の守護獣が、ユーラシア大陸を各地の習俗を採り入れながら東方に伝わっていき、ここ日本において阿吽一対の「獅子・狛犬」の姿に結実したと考えられている。
「獅子」は向かって右側に置かれ開口し、「狛犬」は左側に置かれ閉口し角をもつとされた。阿形と吽形を一対としたのは、おそらく金剛力士像を手本にしたものと考えられる。「獅子・狛犬」は、平安時代には宮中において儀式の際の守護や御帳台(貴人の座所)のおもしなどの調度品としての役割を担うが、次第に神社や寺院の堂舎内に置かれるようになり、さらに時代が下ると拝殿の前や参道の途中、鳥居の前といった屋外に据えられるようになる。そのような中で、「狛犬」の大きな特徴だった角は失われ、「獅子・狛犬」をあわせて狛犬と呼ばれるようになっていった。
ふだん私たちが目にする屋外に置かれた石造の狛犬は、主に江戸期以降に盛んになった庶民の奉納によるものである。奉納先の寺社の由緒や奉納者の願い、時代背景や地域性、石工の独自の表現などを反映した実に多様なその姿は、見る者の心を強くとらえ続けている。
『埼玉の狛犬』の「狛犬とは」より
狛犬の分類
狛犬には今のところ定まった分類方法がないため、主に狛犬の形状を基準に、下図のとおり分類しています(久保田和幸『狛犬探訪 埼玉の阿・吽たち』(さきたま出版会, 2003)掲載の「全体像でみる狛犬の層別」をベースに編集)。
蹲踞の姿勢で座る「座り犬」、四つ足で立つ「立ち犬」、日本の狛犬のルーツにあたる「中国獅子」に大別する。なお、神使とされる動物などは、動物名で分類する。